宅録派のためのノイズ&防音対策【ボーカル録音講座2-2】

ボーカルレコーディングをする女性-2
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レコーディングの大敵となるのがノイズです。
ボーカル用の高性能マイクは、感度が高いためさまざまなノイズを拾いがちです。

今回は自宅でボーカルを録音するときに問題になるノイズ対策と、防音のコツについて紹介していきます。
ちなみにまったく音漏れのない防音室を作るという方向性のものではなく、音漏れをある程度抑え、ノイズと反響のないボーカルを低コストで録るための方法、といった感じのものです。

レコーディング時のノイズ軽減のための防音対策

まず基本的な対策としては、ドアを閉めて部屋にある音の出るものを可能な限り止めます。エアコンも消しましょう。

次にカーテンを閉めます。
これは外からの音を防ぐのと、部屋からの音(歌声)をできるだけ外に漏らさないためです。
また、録音時には声が堅い壁に反射する「部屋鳴り」が問題になるのですが、これを軽減するためでもあります。

たとえば静かな部屋で「わっ」と大きな声を出してみると、壁に反射した声の残響がわずかに聞こえると思います。ボーカルにはリバーブという残響音のエフェクトを付加しますが、録音時に入る意図しない残響は「いらない残響」であり、ボーカルの加工・編集において支障となります。

なかなか厄介な部屋鳴りですが、マイクの後ろを覆って反響を抑えるリフレクションフィルターというアイテムがあるので、もし予算があるなら使ってみるのもいいかもしれません。

ローカットスイッチ

マイクには「ローカットスイッチ」というものが付いていることがあります。
これはマイクから入力される音の低域部分をカットするためのもので、80Hz以下くらいの周波数をカットするタイプのものが多いです。
このスイッチを入れると、空調などに含まれる低周波のノイズを低減することができます。

ローカットスイッチのマーク
数字がない場合もある

もっとも低域カット自体は録音したあとでも簡単にできますし、レコーディングにおいては音情報を余すことなく収録しておきたいので、できれば使わないほうがいいと思います。
録ったあとでEQ調整を行わない場合や、近所で工事をやっていてノイズの元を断てないというような場合にのみオンにしましょう。

ちなみにマイクに付いているスイッチにはもうひとつ、「PADスイッチ」というものがあります(付いていないマイクもあります)。
これは過大な入力信号を低減する、簡単にいうと音を小さくするためのものですが、適正なレベルで録音をすればいいだけなので、通常はオンにする必要はありません。
なんだかマイクの音が小さいな、と感じたときは、このスイッチがオンになっている可能性もあるのでチェックしてみてください。

無料でノイズと反響を消す方法

録音されたボーカルの理想形は、ノイズがなく、ドライ(残響などがかかっていないそのままの音)なものですが、そういったボーカルを録るには、防音と吸音に優れた場所が必要です。

自分の部屋をレコーディングスタジオのような環境にするには、壁全体に吸音材を貼りつけるのがベストですが、その方法だとお金がかかるし見栄えも悪くなってしまいます。それにテープで貼れるタイプのものもあるとはいえ、賃貸のマンションやアパートでしたら、壁に吸音材を直接貼りつけるのはやはりちょっと不安があります。

専用の吸音材ではなくても、防音カーテンのような厚手の布地を使ってもそれなりに効果はありますが、こちらもやはり部屋全体を覆うとなるとコストも労力もかかります。

じゃあどうすればいいんだ! という方に朗報です。
コストをかけずに手っ取り早くノイズを消して、デッド(反響がない)な空間でボーカル録音ができる方法があります。

それは……

毛布をかぶってレコーディングすることです(ジャーン!

ふざけんな! と言われそうですが(笑、結構効果があるんです。

毛布を頭からかぶってマイクに触れないように片手で持ち上げ、毛布の端はマイクスタンドのブームに乗せる感じにします。小料理屋の暖簾をくぐるときのような格好です。ポイントとしてはマイクの周辺にしっかり空間を作ることです。
コートハンガーなどの高さがあるものがあれば、それに引っかけてみるのもいいと思います。
布団でもいいのですが、重いのと、厚みがあるのでかぶったときに隙間ができやすいので、毛布のほうが使いやすいです。

こうすることで周囲からのノイズをカットし、反射も完全に吸音します。

音がこもりそうと思うかもしれませんが、意外とこもらずクリーンな音を録ることができます。
ノイズや反響に困ったときは一度試してみてください。ただし歌いやすくはないですし、夏場は地獄です(笑

ちなみにこの方法でも残念ながら完全防音は難しく、音漏れが発生してしまいます(だいぶ抑えられますが)。
ご近所対策としては、普段の歌の練習は家ではなくカラオケ店で行い、レコーディングは夜は避けて日中に、事前準備をしっかりして短い時間で録りきるのがベターかなと思います。