曲作りとミックスを終え、最後に残るのがマスタリングです。
最終工程であるマスタリングをどのように行うかによって、曲の出来は大きく変わります。
今回はマスタリングと、それに関連する作業の基本的な知識について解説します。
マスタリングとはなにか
マスタリングの本来の意味は、「スタンパー」と呼ばれるCDプレスをするための原盤を作ることです。
その前段階の、スタジオでの最終的な調整作業は「プリマスタリング」といいます。
CDにはたいてい複数の曲が収録されますが、プリマスタリングではその曲順や曲間の時間を決めたり、曲ごとの音量を調整してCD全体の統一感を出します。
これまではこのプリマスタリングを含めてマスタリングということが多かったのですが、現在ではその言葉の意味がさらに広がって、ひとつの曲の最終的な音圧上げや音質補正のこともマスタリングと呼ぶようになっています。
個人で曲を作っているアマチュアの方にとってのマスタリングというのは、これを意味することがほとんどだと思います。
そのあたりの言葉の正確な意味にこだわる必要性も特にないので、ここでも最終的な音圧上げ&音質補正作業(&書き出し)のことをマスタリングとして話を進めていきます。
2ミックスは作るべきか
曲のミックスを行い、それをひとつのステレオファイルにまとめ上げていくことをミックスダウンといいます(ミックスとほぼ同義で使われることが多いです。トラックダウンと呼ばれることも)。
ミックスダウンして書き出したステレオファイルは2ミックス(2Mix)と呼ばれ、マスタリングではこれをDAWのプロジェクトに読み込んで、音質調整等の作業をしていきます。
ここでひとつの疑問が出てきます。
そもそも2ミックスを作る必要はあるのかということです。
たとえば複数のアーティストによるコンピアルバムを作るときなど、外部のエンジニアにマスタリングを依頼する場合は、当然ですがミックスダウンして、2ミックスを渡す必要があります。その場合、最終的な音圧上げはせずに、音圧調整ができる余裕を持たせた2ミックスを作らなければいけません。
しかし自宅で個人制作をするなら、自分でマスタリングまですべて行うわけで、わざわざ一度出力せずともそのまま同じプロジェクトで音質調整&音圧上げまでしてしまっても特に問題はないです。
そのほうがミックスに戻って各トラックを調整する必要があるときも、シームレスに作業できるので効率的というメリットもあります。
ちなみに私は以前、2ミックスを作ってマスタリング用の新しいプロジェクトに読み込んで作業を行っていたのですが、それは2ミックスを作らなければいけないという固定観念に縛られていたからというわけではなく、その当時使っていたパソコンの性能が低く、曲を作り終えた時点で動作が結構もっさりしてきて、そこにさらに重いマスタリング系プラグインを挿すとパソコンが固まりそうな気がしたからという実利的な理由によるものです。
今はもうそんなことはないので、最終的な音圧上げまでまとめてやっています。
実際、曲作りの延長線上で同じプロジェクトでマスタリングするのも、ミックスダウンした2ミックスを読み込んでマスタリングするのも、音的には変わらないですしね。
2ミックスが必要な場合も
このサイトではミックスで曲全体の音圧上げをせずに、ヘッドルーム(音の天井である0dBまでの空間)に余裕のある音作りをオススメしているのですが、ミックスの段階である程度の音圧上げを行うスタイルの人もいると思います。どちらが正しいとかよりよいとかいうことではなく、あくまでアプローチの問題です。
そういうスタイルの場合は、ミックスダウンの段階でマスタートラック(すべての音が集まるところ)のエフェクトスロットが埋まってしまうこともあるので、2ミックスを作る必要があります。
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