ドラムといえば、曲の土台を支えリズムを刻む重要な役割を持つ楽器です。
メロディやハーモニーを奏でる楽器と比べると打楽器は取っ付きやすいので、DTM初心者が曲作りをはじめる際に最初に取り組むことが多いパートでもあります。
とはいえ曲作りのスタートがDTMで、バンドの経験もなく本当になにも知識がない場合は、ドラムの名称も、どんな音がするかも、そしてどのように使えばいいかもわからないと思います。
私自身がそうでした。
一番初めに作った曲では、フィルインでスネアの代わりにハイハットの連打を使っていました(笑 テレビなどから流れてくる曲の中で、ダダダダと打楽器が連なって聴こえてはいたのですが、それがいったいなんなのかまったくわかっていなかったんですよね。
というわけで、今回は超初心者向けにドラムの基礎を解説していきます。
かつて初心者DTMerだった自分が、当時あったらよかったなと思うような初歩の初歩の解説です。
ドラムセット
曲に使われる打楽器というのはたくさんあるのですが、その中でも主要な打楽器をまとめたものがドラムセットです。
エレクトロニックな音楽を作る場合でも、音色は違えどこのセットが基本になるので、その役割をしっかり押さえておきましょう。
バスドラム(Bass drum)/キック(Kick)
ドラムの中で最も低い音を出すのがバスドラム(ベースドラムともいいます)です。会話で使うときはたいてい省略してバスドラといいます。
ドラムセットではペダルを足で踏んで鳴らすので、キックと呼ばれることもあります。クラブ系のジャンルではキックのほうが主流です。
ベースの動きと連動することが多く、低域を支えるだけでなく、リズムの要にもなる重要な打楽器です。
EDMなどのダンストラックでは、4拍子で1小節に4つ、ドンドンドンドンと同じリズムでバスドラムを鳴らすのが定番で、これを4つ打ちと呼んだりもします。
ちなみに私はこれをずっと「よつうち」と読んでいたのですが、前にどこかで見た動画で「よっつうち」と発音している方がいました。どちらが正解かは不明です。というかたぶん正解も不正解もないと思うので、言いやすいほうでいいと思います(笑
※ドラム単体だと音源の規約的にまずそうな気がするので電子ピアノを重ねてあります。
スネアドラム(Snare drum)
スネアドラムは、ドラマーの正面やや左に置かれている小太鼓のことです。
存在感のある鋭い音が特徴で、4拍子では2拍目と4拍目に叩かれることが多く(バックビートといいます)、リズムにアクセントをもたらします。
バスドラムとスネアドラムのコンビは、リズムの骨格ともいうべき重要な役割を果たします。
また、後述のタムタムと連動してフィルイン(曲のつなぎ目でリズムパターンに変化をつけること)に使われることも多いです。
スネアドラムは叩く場所によって音色も変わります。
基本となるのは太鼓の真ん中をスティックで叩くことですが、そのときスティックの手前の部分でリム(縁)を同時に叩くことで、少し甲高い音にすることができます(→オープンリムショット)。
下のサンプルでは、1、2小節目(スネア1〜4回目)は通常の叩き方で、3、4小節目(スネア5〜8回目)はオープンリムショットになっています。音色の変化がよくわかると思います。
また、スティックを上下逆に持ち、手でスネアの表面を押さえつつリムを叩くことで、カツカツという乾いたスティックの音を鳴らすことができます(→クローズリムショット)。
これは英語ではサイドスティックと呼ばれています。DTM音源ではリムショットと表記されることもあります。
バラードでよく使われる奏法です。
このほかに、ジャズなどで使われるブラシを使った奏法もあります。
ハイハット(Hi-hat)
ハイハットは2枚のシンバルを上下に重ね合わせたもので、チッチッチッチッというような感じで曲の基本となるリズムを刻むのに使われます。
ドラムスティックで叩いて使うのですが、ペダルを踏んだ状態だとハイハットが閉じて、歯切れのいい音になります(→クローズドハイハット)。“ハイハット”とだけいう場合は、普通はこのクローズドハイハットのことを指します。
ペダルを離した状態で叩くと、クローズドのときと比べて音が伸びます(→オープンハイハット)。
クローズドとオープンの中間の、半開き状態で叩くハイハットもあります(→ハーフオープン)。
ペダルを踏むとシンバルが重なり合ってカシャッという音が鳴るのですが、これをハイハットとして使う奏法もあります(→フットハイハット)。DTM音源ではペダルと表記されていることもあります。
1、2小節目はクローズドハイハットで、3、4小節目はフットハイハット、4小節目の最後にオープンハイハットを使っています。
3つの基本要素
ここまで解説してきたバスドラム、スネアドラム、ハイハット、この3つがドラムの基本要素になります。
たとえばエレクトロニカのような完全な電子音楽でも、リズムパートをよく聴いてみると、低域を支えるもの、偶数拍にアクセントを加えるもの、一定間隔のリズムを刻むもの、といった感じで、生楽器と音色は違っても、同じような役割の音でリズムパートを構成している曲が多くあります。
この3つの要素は、ジャンルを問わずリズムの基本となる大切なものなので、しっかり押さえておきましょう。
タムタム(Tom-tom)
タムタムは曲の変わり目などで変化をつけるために使われるドラムです。省略してタムと呼ばれることもあります。
ドラムセットによって変わりますが、普通はドラマー正面左にハイタム、正面右にロータム、右下にフロアタムの構成が多いです。これにミッドタムを加えて、正面のタムを3つにする構成もあります。
上の画像だと右手のスティックで叩いているのがロータムで、その左隣のやや小ぶりなものがハイタム、右下の大きな太鼓がフロアタムになります。
音の高さはハイタム>ロータム>フロアタムです。
曲の変わり目で複数のタム(+スネア)をドコドコと鳴らすことをタム回しといったりもします。
1つめの音がハイタムで、そのあとにロータム、フロアタムと続きます。
4小節目の終わりのタム回しは、スネア→ハイタム→ロータム→フロアタムの順で2回ずつ叩いています。
ライドシンバル(Ride cymbal)
ライドシンバルはハイハットと同じくリズムを刻むために使われます。
ハイハットよりも甲高いカーンという音が鳴ります。
3連のリズムを使ったゆったりとした雰囲気のドラムパターンです。
クラッシュシンバル(Crash cymbal)
バシャーンと大きく派手な音が鳴るクラッシュシンバル。小節の頭にインパクトを加えるときによく使われます。
ドラムセットの画像では、ドラマー視点で左側にひとつセットされていますが、対になるように反対側にもセットされることが多いです。
タム回しで最後にフロアタムを叩いたあと、その流れで右側のクラッシュシンバルを叩く、といったふうに使われます。
DTMでクラッシュシンバルを2つ使うときは、パン(音が左右のどこから出るか)を左右に分けて使うことが多いです。
アクセント系のシンバルにはこのほかに、スプラッシュシンバル(小ぶりなサイズで、カシャーンと鳴ります)とチャイナシンバル(端が反り返った形状をしていて、明るく派手な音が鳴ります)もあります。
あとがき
ドラムセット以外にも、コンガやシェイカー、タンバリンなど、曲作りによく使われるパーカッション系のものはたくさんあります。
とはいえ基本は今回紹介したドラムセットになるので、まずはこれらの使い方をしっかり押さえておきましょう。
個別の打楽器を使ってドラムパターンをどのように打ち込んでいくかは、また次回紹介していきたいと思います。
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