人に歴史あり、そして音楽投稿サイトにも歴史あり、ということで、かつてあったアマチュア向けの音楽配信サイトをまとめてみました。
説明文は、当時このサイトで紹介していたときのものです。
現在も稼働中のアマチュア向け音楽配信サイトについてはこちらから↓
muzie(ミュージー)1999〜2017
http://www.muzie.ne.jp/
「日本最大級のインディーズ&アマチュア音楽コミュニティーサイト」と銘打たれているように、18万曲を超える膨大な楽曲が登録されています。無料で審査もなく簡単に登録でき、muzie-shopでCD販売も可能です。楽曲をアップロードしてから掲載までに数日かかります。
プレイヤーズ王国/MySound(マイサウンド)2000〜2009
http://players.music-eclub.com/
http://mysound.jp/
ヤマハ株式会社が主催する音楽コミュニティーです。ほかのサイトと比べて特徴的なのは、コピー曲も公開可能というところです。VOCALOIDコンテスト等、独自の企画もあります。
NEXTMUSIC(ネクストミュージック)2001?〜2010?
http://www.nextmusic.net/
かなりの数の楽曲が登録されているインディーズ音楽配信サイトです。コミュニティーも充実しています。独自のコンテストを開催するなど、アマチュアミュージシャンをサポートする機能が充実しています。
mF247(エムエフニヨンナナ)2005〜2013
http://www.mf247.jp/
SME元代表取締役社長の丸山茂雄氏が手掛ける音楽配信サイトです。
初期登録料9,000円、1曲ごとに1,000円かかります(2008年1月1日より無料キャンペーン実施中)。有料配信も可能です。楽曲登録には審査がありますがこれは無料です(つまり審査が通った後に登録料、楽曲料を払うということです)。審査は音質が特に重視されている印象を受けます。
業界関係者によるレコメンドも多く、mF247から発売されるCDに収録される可能性もあるので、アマチュアの方にとっては非常に展望のあるサイトだといえます。
>> 音楽配信サイトmF247の休止について(2008.8.24)
>> 音楽配信サイトmF247がリニューアルオープン【Episode2】(2009.7.2)
CREOFUGA(クレオフーガ)2006〜2020
https://creofuga.net/
アイドルの楽曲募集コンテストやカバー曲コンテストなど、アマチュアのアーティストにとっていい力試しの場になると思います。優秀な作品に対して特典が用意されているものもあります。
以前はアーティストやユーザーが出した「お題」に対してそれに沿った楽曲を投稿するという機能があったのですが、リニューアル後はコンテストに絞ったサイトになったようです。
今後は同運営会社による音素材販売サービス、Audiostockに注力していくようです。
こえであそぶ koebu(こえ部)2007〜2016
http://koebu.com/
お題に対して声を投稿するスタイルのサイトですが、音楽配信的な使い方もできます。曲だけでなくセリフやボイスドラマなど、声優やアニメ、演劇などに関心がある方にも親和性が高いサイトです。
OK Music(オーケーミュージック)2011〜2019
http://creators.okmusic.jp/
SNS的性格の強い音楽配信サイトです。
アーティストページを作成し、音源を投稿するという流れになっています。曲を再生すると、その曲に付けられたスタンプが画面上にわき出るおもしろい仕掛けがあります。
当時の感想→アマチュア向け音楽配信サイトのニーズがなくなってきているのか、大手に集約しはじめたのか、いずれにせよ選択肢が狭まりつつある状況です。
Myspace(マイスペース)2003〜
今回紹介した中で唯一今も存在するサイトなのですが、アマチュア向け投稿サイトとしてはもう機能していない感じです。
↓以下は当時の状況です。
音楽制作者向けのアーティストページも充実していて、曲ファイルをアップロードしてプロフィールページにて公開することができます。有名アーティストも多数参加しており、新曲の先行試聴もよく行われています。
ほかの配信サイトと比べるとやはりSNSとしての特徴が強いので、曲を聴きにきてもらうというよりも、自ら交流を持ってどんどん発信していく、といった使い方が適しています。
2014.6.1追記
いつのまにか日本語サポートのページもなくなり、なんだか迷走している気配です。アマチュアミュージシャンの発信場所としては今はSoundCloudを選択したほうがいいかもしれません。
今をときめくカルヴィン・ハリスを輩出し、かつてはFacebookと並び称されるほどだったのにどうしてこうなった……。
2019.3.20追記
ネットで久々に名前を見かけたと思ったら……
→Myspace12年分のデータが消失!自分の曲もやはり消えていた…
あとがき
栄枯盛衰。さまざまな音楽投稿サイトが生まれ、そして消えていきました。
結局のところ、アマチュア向けの音楽配信サイトは儲けを出しにくいんでしょうね。身もふたもないですが。
世界最大規模のSoundCloudでさえ経営難になったことがありましたし、人がたくさん集まったとしても、収益性の面では低そうです。
かつてmF247がニコニコ動画と提携したときのWebニュースに、以下のようなくだりがありました。
mF247には広告も掲載しておらず、収益モデルはまだない。まずは広く登録アーティストを募り、「楽曲の着うたやCD化、カラオケ配信や、アーティストグッズ販売のお手伝い」などで収益化していく考えだ。(ITmedia NEWS 2009.03.25)
当時は広告以外の収益源としては上記のようなものしかなかったわけで、アマチュア向け音楽配信サイトを稼げる事業にするのは至難の業だったと思います。
今だと安定的な収益を得るためにサブスクを採用するサービスが多いですが、サイトにあるのがアマチュアの曲だけだとリスナーがお金を払って登録することは考えにくいですし、曲を投稿するクリエイター側も、よほどのインセンティブがない限り無料プランで使い続ける人がほとんどだと思われます。
つまりは現在においても、アマチュア向け音楽配信サイトの収益性の低さはあまり変わっていないと考えられます。
プロ志向ではないけれど、趣味で曲を作ってそれをアップして、リスナー、あるいは同じジャンルを愛好するクリエイターから感想をもらって交流する、といった、かつてのある種牧歌的なアマチュア向け音楽配信サイトはもうほとんど残っていません。
現在ではツイッターやYouTubeなど、規模が大きく多様な機能を持つWebサービスが人気です。こういったWebサービスを横断的に活用するのが、今の時代のアマチュアミュージシャンの「音楽配信」なのだと思います。
あわせて読みたい>>音楽配信代行サービスで自作曲を世界に配信しよう【オススメ10選を比較】
↑音楽配信代行サービスを使うことで、アマチュアでもSpotifyやApple Musicに自作曲を載せて収益化することができるようになりました。
アマチュア向け音楽配信サイトがほとんどなくなった今、こうしたサービスで曲を発信するアーティストが増えています。