ものすごく今さらな話ですが、今年のはじめくらいにCubase 6からCubase 7にバージョンアップしました……と、前回とまったく同じ文章からはじめてみました。
今回のバージョンアップで大きく変わったのは2点です。
その1 MixConsole
ミキサーがリニューアルし、MixConsole(ミックスコンソール)という名前になって機能が強化されました。
なにが変わったかというと、まずは見た目が変わりました。いわゆる高品位な仕上がりというやつです。
もちろん見た目が変わっただけでなく、中身も変わっています。一番の変化としてはチャンネルストリップが搭載されたことがあげられます。
チャンネルストリップにはコンプやリミッターといったよく使われる補正系プラグインがあらかじめセットされているので、インサートエフェクトから各エフェクトを読み込んで設定する手間が省けます。ただフェーダーを動かすだけのミキシングではなく、より実機のミキサー的な音の作り込みができると思います。
さらにMixConsoleには新たにRMSメーターが搭載されました(Cubase 7のみです)。
RMSは瞬間的なピークではなく平均的な音量を知るのに使えるレベルメーターで、音圧調整に役立ちます。市販されている曲だと-7~-9dBくらいのものが多いので、そのあたりを目指すといいんじゃないでしょうか。
ちなみに最近の曲をこのメーターで見たところ、意外に低かったのがCarly Rae Jepsen「Call Me Maybe」で平均9.5dBくらい、予想通り高かったのがCalvin Harris Feat. Ne-Yo「Let’s Go」で平均7dBくらいでした。
前者は音数が多くないので音量感を大きくしやすいというのもあるのでしょうが、今どきめずらしい控えめな波形です(笑 それでも音が小さく感じないのはミックスとマスタリングがすばらしいからだと思います。
話を戻して、MixConsoleで地味に使えそうなのが左側のチャンネルセレクターです。中央のセクションに表示するチャンネルを選択できます。ゾーンは左右のどちらかにチャンネルを固定できる機能で、Stereo Outなど、つねにチェックしておきたいチャンネルに使います。
一方、地味に使わなそうなのが、チャンネルラックの下に表示させることができる楽器の画像です。まあぱっと見どのチャンネルにどの楽器を使っているかわかりやすいかもしれませんが……。
その2 コードトラック
7シリーズからコードトラックという新機能が搭載されました。
コードトラックというのは、プロジェクトのコード進行を管理できるトラックのことです。入力したコードをいろいろなボイシングで試聴できるので、鍵盤を弾くのが苦手な人には役立つと思います。
また、ドラムトラックだけ流してコードトラックを試聴すると、曲全体の流れを把握することができるので便利です。
ちなみにSinger Song WriterやBand-in-a-Boxのように、自動的にコード判定やコード生成をするような機能ではないです。
フラッグシップバージョンのCubaseには、Chord Assistantという前後のコードから最適なコードの選択肢をあげてくれる機能がついていますが、初心者のコード作成を助けるというよりも、ある程度知識のある人がコードのバリエーションを考えるのに役立つ機能といった感じです。
とはいえコードトラックはCubaseのほかの機能と連動する使い勝手のよさがあり、たとえばMIDIエディターにあるコードエディットを使って複数のMIDIノートからコードの判定をしたり、指定したコードにMIDIノートを合わせたりすることができます。
また、プロジェクトウィンドウの各トラックのインスペクターにあるコードトラックの「コードトラックに追従」を使えば、コードトラックで指定したコードに沿って、MIDIパートが演奏されます。
さらにVariAudio 2.0の機能と組み合わせて、ハーモニーボイスを生成することもできます。これはメインボーカルを解析して、ハモリパートを自動で作成(最大4声)してくれる機能です。
ラインナップについて
Cubase 6と同じくフラッグシップバージョンは無印の7で、その下にArtist 7があります。
さらにその下にElementsがありますが、こちらはバージョンが6なので、今回紹介したMixConsoleやコードトラックは搭載されていません。改めて思うのはCubaseも安くなったなということです。4か5のときはフラッグシップバージョンが10万円くらいしていたような気が。
無印とArtistは2万円の価格差がありますが、どちらを購入するか迷っている方もいると思います。プラグインの種類だったりサラウンド機能の有無などがありますが、一番大きいのはVariAudio 2.0がついているかどうかだと思います。
オーディオをMIDIのように扱えるVariAudio 2.0は、ボーカルレコーディングを行う人には力強い味方です(ArtistでもPitch Correctとオーディオワープを活用すれば、それに近いことができるかもしれませんが手間がかかります)。
また、マルチバンドコンプやRMSメーターなど、ミックスやマスタリングに役立つプラグインや機能が搭載されているので、Cubaseで曲作りをすべて完結したい人には無印7をおすすめします。