ボーカルレコーディング時にチェックしておきたいことがらについてまとめました。
これから歌入れをはじめようと思っている人向けの内容です。
口とマイクの距離をチェックしよう
歌うときに口とマイクをどれくらい離すかによって、声の雰囲気がかなり変わります。
これに関しては正解の距離というのはないのですが、だいたいマイクから10〜12cmくらい離して歌うのを基本として、それよりも遠ざけたり近づけたりして音質を確かめ、自分の歌唱スタイルにあった距離を探ってみてください。
ポップガードの位置はマイクから5cmくらいのところにセットするのが一般的ですが、マイク付属のポップガードの場合はポジションを変えられないものもあり、その場合はそのままで問題ありません。
息遣いまでしっかり録りたい場合はマイクに近づいて、アンビエンス(周囲の音の響きや広がり)も一緒に録りたい場合は少し遠ざかって歌うといいでしょう。その意味でいうと、コーラスは少し離れて録ったほうがいいです。
最近のポップスでは、スピーカーの前面にぐっと張り出してくるような存在感のあるボーカルが多いですが、そういった質感のものを録るならマイクと近い距離で歌うのがオススメです。
ちなみにマイクには近接効果というものがあり、マイクに近づけば近づくほど低音が強調されます。ダイナミックマイクに顕著な現象ですが、コンデンサーマイクにもそれなりにあります。
自分の声が細いなと感じている人は、近めで歌ってみましょう。
立って歌う
レコーディング時のプロのアーティストの映像を見ると、みんな立って歌っています(弾き語りの場合を除く)。立つことで自然とお腹に力が入り、いい発声で歌うことができるからです。
背筋をすっと伸ばしたときの口元にマイクが来るようにマイクスタンドをセッティングすれば、背中が丸まらず正しい姿勢で歌えるのでオススメです。
ただしこれは一般論なので、もし自分は座ったほうがリラックスしていい声で歌える、と感じたなら、もちろん座ってもかまいません。いい歌が録れればそれでOKです。
1日ですべて録りきろう
ボーカルレコーディングに慣れていないと、なかなかうまく録ることができずに何時間も経ち、最終的に声を潰して翌日に持ち越し、なんてことがあるかもしれません。
満足のいく歌が録れるまで何度もトライするのはいいのですが、前日に録ったものと当日録ったものは、編集で組み合わせないほうがいいでしょう。
同じ環境、同じポジションで歌っているつもりでも、録った日が違うと声の張りだったり空気感が微妙に異なって聞こえます。
ボーカルは一日で録りきってしまいましょう(コーラスは分けて録っても問題ないです)。
音程感に不安がある場合の対処法
歌の音程に不安があるときは、伴奏の音量を少し落としてヘッドホンから流れる自分の声をしっかり聞くようにすると、音を外しにくくなります。
また、ボーカルのメロディーをシンセリードなどのわかりやすい音色で打ち込んで、それをガイドに歌うのもオススメです。
音圧パツンパツンのインストを伴奏に使わない
歌いやすさという観点からいうと、音圧を限界まで上げたインストは伴奏に不向きです。
実際に試してみるとわかると思いますが、自分の声が埋もれてしまって歌いにくいです。
最終的に音圧を上げるにしても、歌録りのときは音圧を下げてダイナミクスをある程度持たせたミックスをした伴奏を使ったほうがいいでしょう。
ハモリは音程感重視で薄めに歌う
メインボーカルに対してハモリを入れる場合、声を張ったり抑揚をつけすぎたりせず、音程をしっかり意識して、声を楽器として扱うように歌うと、メインを邪魔しないサラサラとしたハモリにすることができます。
「アー」「ウー」といったコーラスを入れるときも同様です。
R&Bなどで合いの手のように入れるコーラスの場合は、メインと同じように力強く歌ったほうがハマることもあるので、その辺は臨機応変に。
それなりにうまく録れたものを3本用意する
ボーカル録音で、曲の最初から最後までミスなく完璧に歌いきるというのはなかなか難しいです。
一曲通して歌ったものを3本ほど用意し、その中でうまく歌えたパートをツギハギして、ベストテイクを作るようにしてみましょう。
Aメロ、Bメロ、サビ、といった感じでオーディオデータを分割すると、編集しても繋ぎ目が不自然になりません。
最初からパートを分割して録音し、あとで繋ぎあわせるやり方もありますが、とりあえずは一曲通して歌って曲の流れをつかんでみるのがいいと思います。
まとめ
曲作りと同様ボーカルレコーディングも、数をこなすうちに自分なりのスタイルができあがってきます。
今回の記事で参考にできる部分があったら、ぜひ取り入れてみてください。
>> 「歌ってみた」初心者のためのボーカル録音講座/Index【目次】