音楽には、曲調や歌詞によって特定の季節を感じさせるものがあります。
その観点からいえば、MINMIの「シャナナ☆」はまちがいなく“夏”の曲であるといえます。
ただ底抜けに明るいだけでなく、カーニバルの熱狂がいつか終わりを迎えることへの寂寥感がメロディーから伝わり、また、歌い手が日本人ということもあってか、歌謡曲的な“情”もそこはかとなく感じられます。
日本語版と英語版のアレンジの違いについて
この曲はジャンルでいうと、ソカ(ソウルカリプソ)と呼ばれるトリニダード・トバゴ発祥のダンスミュージックで、MINMIは2007年のトリニダード・カーニバルの音楽祭に出演し、女性アーティスト部門で第3位に輝いたそうです。
このシングルには日本語版の「シャナナ☆」と、オリジナルの英語版「Sha na na~Japanese wine~」が収録されているのですが、そのアレンジはまさに現在のJ-POPと洋楽(というかダンストラック)の違いを浮き彫りにするものでもあります。
タイトでノリのあるビートを前面に押し出した英語版とは異なり、日本語版は音数が多くゴージャスでキラキラ感があり、ボーカルの音量は大きめで、ドラムはバランスを重視した音圧という、J-POPというジャンルを意識したアレンジになっています。
どちらのアレンジにもそれぞれよさがあるのですが、同じ曲で同じコードとリズムを使っても、アレンジによって印象は大きく変わるものだなと、アレンジの重要性を改めて認識しました。
先月には初のベストアルバムを出したMINMI、熱い夏を過ごしたい人はぜひ。
2008.7.30
「The Perfect Vision」「四季ノ唄」など名曲ぞろいの2枚組。